HPVワクチンのキャッチアップ初回接種を8月・9月の2ヶ月間にわたり実施します。
~HPVってなに? どうして接種が必要なの?・・・ここが大切です!~
HPVは主に性行為によって感染します。しかし、ほとんどのひとは、その後ウィルスが自然に消えてしまいます。一部のひとには感染した状態が続きます(持続感染)。さらにその中の一部のひとに子宮頚がんが発生します。このような経過から、HPVは子宮頚がんの主な原因といわれます。(もちろん、感染とは関係なく発生するがんもあります。)
子宮頚がんは、子宮頚部という子宮の出口にちかいところにできる“がん”で、20歳代から30歳代の発生が多くなっています。妊娠出産をする年齢のかたが多い年齢層ですね。
日本では年間に約10,000人が子宮頚がんにかかり、約3,000人が子宮頚がんで亡くなっています。
ワクチン接種は、HPV感染を予防して子宮頚がんにならないようにすることが目的です。
このウィルスには、16型、18型、31型などたくさんの種類があります。当院で使用する「シルガード®9」ワクチンは、子宮頚がんの原因となるといわれる様々な型のウィルスの80-90%の感染を防ぎます。ただ、100%防げるわけではないので、ワクチン接種と共に定期的に子宮がん検診をうけることも大切です。
~キャッチアップってなに?~
HPVワクチンの定期接種の機会を逃した人に、遅れてしまったけれどこれから接種しようというのがキャッチアップ接種です。
過去に副作用による障害などが問題となり、しばらく定期接種が実施されなかった期間がありました。しかし、大規模な調査と学術研究の結果、ワクチン接種と重大な副作用との間には因果関係がないことがわかりました。
定期接種が中止されていた期間にワクチン接種を受けることができなかった人たちに公費で接種を提供することが目的です。
~なぜ、8月、9月だけなの?~
キャッチアップ接種を受けることができる期間は、令和7年3月までですが、ワクチンは計3回の接種が必要です。3回の接種を終えるには6ヶ月間を要します。公費での接種(3回とも無料)を受けるためには、第1回目を今年の9月末までに終えなければなりません。2回目や3回目が、来年(令和7年)4月以降になってしまうと、その接種分は自費になります。このワクチン(3回接種)を自費でうけると約10万円かかります。
~接種を受けることができる人(公費で受けることができます。無料です。)~
・誕生日が平成9年(1997年)4月2日から平成20年(2008年)4月1日までの女性のうち、
過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていないひと(全く接種を受けていないひと、1回または2回しか受けていないひとです)
*全く接種を受けたことがないひとは、合計3回(1回目と2回目の間は2ヶ月空ける。2回目と3回目の間は4ヶ月空ける。だから、全部で6ヶ月かかる)。 1回だけ受けたことがある人は残り2回、2回受けている人は残り1回を接種します。
~接種について~
接種の意義について、十分理解した上で受けてください。
分からないことは事前に担当医に質問をして納得してから接種を受けましょう。
コロナワクチンと同様、筋肉内注射です。肩関節の少し下の方にある三角筋という筋肉のなかに注射をします。
~副反応はあるの?~
すべての予防接種には何らかの副反応が伴います。
ただ、疼痛・発熱・だるさなど人によって様々です。症状の軽い人、強く出る人もいます。多くの場合、1~3日で軽快します。副反応がでて心配な人は、遠慮なく担当医師に相談してください。
極めてまれですが、接種後に重い健康被害を生じることがあります。その際は、担当医師に相談し、法律に基づいた救済制度を利用することができます。専門の医療機関(近隣では、東海大学病院、北里大学病院、聖マリアンナ医科大学病院、横浜市立大学病院など)での治療を受けることもできます。
~定期接種はやっていないの?~
対象は、「小学校6年生から高校1年生相当の女子」となっています。
当院では、現在、接種の受け付けをしておりませんが、10月以降の実施を検討中です。
令和6年(2024年)8月2日
海老名中央医院
院長 内山喜一郎