~みなさまにお願いしたいこと~
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置づけが5類になっても・・・
・COVID-19自体が変わったわけではありません。季節性インフルエンザと同じ程度の感染症になったわけでもありません。COVID-19による死亡者数は季節性インフルエンザより明らかに多いのです。一部でCOVID-19は次第に弱毒化してゆくとも言われていますが、医学的根拠はまだありません。これまで3年間に全世界の専門家が集積したデータ、治験や開発されたワクチンや治療法のおかげでCOVID-19への対応の仕方を少しずつ緩和できるようになったのです。
・感染予防策の基本
感染対策は依然として必要です。
ワクチンの接種、不織布マスクの着用、室内換気の実施、3密(密接・密集・密閉)を避けるなど、いままで私たちが行ってきたことの継続です。なんら変わりはありません。ただし、今までの経験とデータから、過剰な感染予防は必要ないことがわかりました。例えば、誰かが触れたドアノブやテーブルの上をアルコールでゴシゴシ拭きまくったり(接触感染予防の一例)、話をする相手との間に透明なアクリル板を立てたりすること(飛沫感染予防の一例)は、状況をみて判断すべきです。
・マスクの着用は個人の判断に委ねられました。
この意味するところは、感染対策(自分から相手に感染させないことが主なる役割)は「個人の責任で行いなさい」ということです。上記の感染予防策の基本をわきまえた上で、必要なところでマスクをしましょう。人と接近しない外歩きの時はマスクをはずして良いと思います。久々に5月の爽やかな外気を吸ってみましょう。
・ワクチン接種
当面COVID-19ワクチン接種は無料です。これは、感染の伝播を「国の責任で極力抑えよう」ということです。オミクロン株になって症状が軽症化したといわれることがありますが、高齢者や免疫力の低下などの基礎疾患を持っている方にはやはり重症化の危険が伴います。ぜひワクチン接種を受けることをお勧めします。(ただし、ワクチンに対する強いアレルギーや副反応のある方は必ず主治医に相談してください)令和5年度のワクチン接種は高齢者や基礎疾患を持つ方向けの「年に2回接種(春・秋)」(すでに1回目の接種券がお手元に届いているかもしれません)と一般向けの「1回接種(秋)」が用意されています。海老名市のホームページやかかりつけ医に確認しておきましょう。
・コロナ検査や治療費が有料(保険診療1~3割自己負担)となること
検査や治療費が有料になると言うことは、「感染したらあなたの責任で検査や治療を受けてくださいね!」ということです。ただ、新型コロナ治療薬は全額補助、入院医療費は一部補助があり、すべてが有料になるというわけではありません。「自分で自分の体を守る、家族や友人の体も守る、互いの健康をまもる」という意識がますます大切になってきます。
・「全数報告の終了」ということ
5月8日から、感染者数や死亡者数は、全国にある約5000箇所の定点医療機関からの報告だけになります。当院では国への感染報告はいたしません。みなさんが毎日のニュースで見ていた厚労省からの感染者・死亡者数の報告はなくなります。では、感染者数はいつ分かるのでしょうか? 毎週金曜日にその前の1週間分をまとめて発表されます。死亡者数はずっと遅れて5ヶ月ほど後になります。つまり、私たちはもはやCOVID-19の流行状況をリアルタイムに知ることができなくなるわけです。季節性インフルエンザの流行のように、「どうやらあの辺で流行っているらしいよ」程度の情報しか得られなくなります。ますます、自分たち自らの日々の感染対策が必要というわけです。みなさまどうぞお気をつけください。
以上、5月8日からのCOVID-19対策を記載しました。COVID-19は、今後も流行を繰り返しながら何年かかかって、最終的には季節性インフルエンザのような感染症になると予測されます。その間、コロナ以外の新たなウィルスによる新興感染症の流行があるかも知れません。しかし、どんなウィルスが広がっても感染対策の基本は変わりません。みんなで一緒に自分たちと社会の健康をまもってゆきましょう。
海老名中央医院 院長 内山喜一郎