麻しん・風しんワクチン(MRワクチン)
麻しんと風しんの混合ワクチンです。
接種方法(定期接種)
第1期(生後12ヵ月以上24ヵ月未満)、第2期(5歳以上7歳未満)
第1初回接種
標準として生後12ヵ月以上24ヵ月未満に1回接種する。
第2期接種
5歳以上7歳未満の小学校就学前1年間に1回接種する。
任意接種
麻しん
以下の項目を満たさない場合、麻しんへの免疫がないと判断されます。その場合、年齢に関係なく予防接種できます。
- 確実な麻しん罹患の既往がある。
- 麻しん抗体が陽性である。
- 生後12ヵ月以降に麻しんの予防接種を2回受けている。
なお、抗体陽性者に予防接種を行っても副反応が増強することはありません。
ワクチンを1回接種すると95%以上の方に、2回接種すると99%以上の方に麻しんに対する免疫がつくと言われております。
1990年(平成2年)4月2日以降の誕生日の方は予防接種を2回受けている可能性がありますが、それ以前に出生の方は1回の接種または未接種の可能性があります。
接種歴が不明な方は4週間以上の間隔で2回接種が推奨されます。
アジア、アフリカ諸国では多数の麻しん患者の発生が報告されております。海外渡航前の接種もご検討下さい。
また、麻しん患者と接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンを接種すると効果的です。
麻しん単独ワクチンであっても妊娠中は接種できません。また、女性の方は接種後2か月間は避妊が必要です。
風しん
成人への任意接種
抗体検査(HⅠ抗体測定)を行い、HⅠ抗体8倍未満、8倍の場合予防接種の対象となります。(HⅠ抗体16倍以上の場合は免疫があると考えられます。)
成人女子への接種
妊娠可能な女性に接種する場合、確実に妊娠していないことを確認し、接種後2か月は確実に避妊する必要があります。
妊娠を希望する女性、およびその配偶者への風しん対策(公費助成)がありますので下記をご参照ください。
副反応
注射部位の発赤、腫脹、疼痛、発熱など。
重篤な副反応としてはショック、アナフィラキシー血小板減少性紫斑病、脳症、けいれんなど報告がありますが極めてまれです。
麻しん(はしか)
麻しんウイルスの空気感染、飛沫感染、接触感染により生ずる疾患で、抗体陰性の場合90%以上が発症します。
感染力は極めて強いウイルスです。
6-21日の潜伏期のあと、38度くらいの発熱があり、一時的に解熱しますが再び39度以上の発熱、耳の後ろや首から広がる発疹が現れます。
発症する数日前から発疹期初期にかけて伝染力が強く、解熱後3日経過するまで登校禁止となっております。
合併症
中耳炎(10%)、肺炎(6%)、脳炎(0.1%)、ADEM(急性散在性脳脊髄炎)(0.1%)、角膜炎・角膜潰瘍(頻度不明)、SSPE(亜急性硬化性全脳炎)(10万人に1人)
麻しん患者の1000人に1-3人が亡くなると言われており、乳児期では肺炎、小児期には脳炎が死因となることが多いです。
治療
麻しんウイルスに効果のある薬はなく、対症療法しかありません。
風しん(三日ばしか)
風しんウイルスの飛沫感染により生ずる疾患です。
14-21日の潜伏期の後、発熱と同時に発疹(顔面から始まり体、手足に広がる)が現れます。また、全身のリンパ節腫脹も見られます。
全ての発疹が消失するまで登校禁止です。
合併症
血小板減少性紫斑病、出血傾向、関節炎、髄膜炎、脳炎があります。
また、妊婦の風しん初感染により胎児に先天性風しん症候群をきたします。